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今日は元日銀総裁の福井俊彦氏の講演会に行ってきました。私はマクロ経済は専門ではないので、理解できないことも多そうなイメージでしたが、旧帝大OBOGの後輩たちに向けて、日曜午後のアットホームな会でのご登壇だったこともあってか、とてもリラックスした感じで、今後の日本のあるべき姿について、本音で素晴らしいビジョンを共有してくださいました。

141207 fukui

あまりに共感したので、ポイントをいくつか下記にまとめます。

*「安定な離れ小島」だった戦後の日本

日本の高度成長はラグビーで言えば「タイトスクラム」のようなもの。”仲良しクラブのチカラ”で経済的価値を最優先してきた(「政官財の鉄の三角形」)。そして、目の前に目指すべきゴールがあり、全員が肩を組んで進むことで能力のある人もない人も平等に利益を手にできた時代であった(グローバル化後に経済発展を遂げた中国は経済格差が著しく出る成長の仕方だったのと対照的)。でも全員が「下を向いて」いないと速く進めなかったので、周りの変化に疎くなった。

*民間がリスクをとってまず走れ!

政府が決めたことに従っているようではだめ。ただ漠然とゴールを追うのではなく、内外と切磋琢磨しながら新しい価値をつくっていくことこそが重要。企業だけではなく、人々の意識が非常に大事。そして、オープンなだけなのもだめで、一歩前に出ること、価値創造のプロセスが大切。

事業にはリスクが伴うが、事業展開のそれぞれのプロセスにおいて、事業活動を資金的に支えるダイナミックなシステムが必要(お金がお金を生み出すわけではなく、もっと地道な価値観のファンドの存在が必要)。日本は国家財政再建が重要課題だが、再建のプログラムさえしっかり提示できれば、海外からの投資も呼び込むことができる。

*エネルギー基本計画について

いつまでもさぼっていてはだめ

*女性の社会進出について

諸外国は必ず重役会議に女性がいるが、日本では見たことがない。今後もっと保育システムの強化をする等、有能な女性を支援するしくみを拡充する必要がある。

*地域再興について

農業、林業、漁業といった根幹になる分野にどんどん若者が新しい経営を持ちこんで欲しい。とくに林業はITとも親和性が高く、北欧などでは、需要分析からすべてコンピュータ管理し、木々の一本一本がタグづけされ、伐採システムも高い技術を有している国もある。日本も見習いたい。

*国家安全保障について

若い方々には、健全な安全保障の考え方を持ってほしい。日本の政府はことに「対応」に注力するが、「対応しなくてはならない」のは一歩遅れているということ、変化を先取りしながら、自分たちはどうあるべきかを決断し、先手を打つべき。

自国の歴史を、近代史も含めてもっと謙虚に学び、対話をしないといけない。中国や韓国との関係においても、日中韓で協力してこれから世界にどういう責任を負っていくのか、を世界に示す必要がある。昨今グローバル人材育成で英語力が強調されているが、必要なのは、話をもっと聞きたいと思わせることであり、そう思ってもらえれば多少英語ができなくても聞いてくれる。

以上、個人的な断片的メモなので、質問はしないでください(苦笑)。実は私は大幅に遅れてしまったので、これは後半部分です(予定を延長してお話してくださった福井さんに感謝!)。

とくに日中韓関係については、海外ではよく、「日本は”やられたらやり返す”的な反応しかできていないから、もっと大人になった方がいいよ」と耳にしていたので、福井さんのビジョンに納得しました。

お話の内容にときめいたのはもちろんですが、元日銀総裁が「飽くなき挑戦へ向けて」というタイトルの講義でスポーツのお話をしてくださるとは予想していなかったので、とても素敵なひとときとなりました。地下鉄乗り間違えて遅れたときはショックでしたが(帰国してもう10年にもなるのになぜだ!?)、講義の後にご挨拶させて頂いた折に、2020年オリンピックに対する彼のビジョンについても直接ご意見を伺うことができてよかったです。